コソボ・クライシス
会議設定
議題:コソボ・クライシス (Kosovo Crisis)
議場:
・安全保障理事会議場
・北大西洋条約機構議場
・第3議場(任意のタイミングで設定)
設定日時:1998年9月~1999年3月
使用言語:日本語
会議参加国数:24カ国
募集人数:
最小→35人(シングル:16カ国 ペア:5カ国 トリデリ: 3カ国)
理想的→40人(シングル:12カ国 ペア:8カ国 トリデリ: 4カ国)
最大→45人(シングル:8カ国 ペア:12カ国 トリデリ: 4カ国)
フロント
会議監督 | 稲川 翔子(四ツ谷研究会神メン)
副会議監督 | 椿 進太郎(京都研究会神メン)
議長(安保理) | 今村 早也香(早稲田研究会神メン)
議長(NATO) | 大竹 正悟(日吉研究会老メン)
秘書官 | 内田 岳広(国立研究会神メン)
秘書官 | 成田 瑞生(四ツ谷研究会神メン)
報道官 | 福永 望(京都研究会神メン)
参加者へのメッセージ
皆さん、こんにちは!コソボ・クライシス会議の会議監督を務める稲川です。
まずは、この長いHPを読んでくださり、ありがとうございます。毎年全日の会議紹介を読みながら、実をいうと長いなぁなんて思っていたんですが、いざ自分が書いてみるとこれがなかなか短くならない。でも、皆さんも感じてくださったら嬉しいのですが、ちゃんと読んでみると各会議の強い思いの丈が伝わってきて面白いです。だから、このメッセージにも少しお付き合いくださったら感謝です。
さて、当会議の特徴はなんといってもクライシス会議であることです。私は、このクライシス会議をどうしても全日の場で作りたかったという思いがあります。それは何故かというと、クライシス会議は通常の模擬国連にはない視野を見せてくれるという長所があるからです。
模擬国連では会議を「点」として切り取るため、時にその場しのぎの外交がまかり通ってしまったり、短期的な利益のみに注目して国益を組み立ててしまったりすることがあります。一方で、クライシス会議では、ターム毎の自身の行動が会議が進行するにつれ、次々と情勢に反映されます。参加者は常に会議のその後を見越して取り組む必要があり、かつ長期的な計画を立てて選択の1つ1つを熟慮することが求められます。
加えて、この長期的な思考や常に頭をフル回転させながら最善を選択する癖がつくと、あら不思議!再び通常の模擬国連に戻った際に、会議の見え方が変わってくるのです。この一連の成長が可能な点が面白さであり、私が全国大会という機会にクライシス会議を作りたかった理由になります。
情勢の変化についてくことはそう簡単ではないし、間違った選択を重ねてしまうこともあります。ただ、1年の模擬国連の中で、自分の行った選択が自分に返ってきて、喜んだり苦しんだりする経験は貴重なものになるのではないかと思ってます。
百聞は一見にしかずです、皆さん。興味のある方は、是非、当会議に参加してみてください!フロント一同お待ちしております。
四ツ谷研究会 稲川 翔子
会議コンセプト
エンドロールは流れない
エンドロールは、映画などの本編終了後に作品のクレジットを表示するシーンのことです。観客はエンドロールが流れると作品の「終わり」を認識します。模擬国連の1会議に出ていると、どうしても私達はこの「終わり」を見据えて行動してしまうことが多々あります。
けれども本当は「エンドロールは流れない」はずです。本来の国連は、会議が終わっても数年から数十年単位で会議の結果があとを引くことになります。私達はこれまでの模擬国連でその決断や結末の重さをどこまで理解できていたでしょうか。実際の国際社会にエンドロールを流してしまってはいけないから常に、最善を目指して選択を継続しなくてはなりません。その点をデリの皆さんに意識していただきながら会議に参加してほしいと思い、このコンセプトを定めました。そして、当会議の特徴であるクライシス設計はこの最善の選択を模索するにぴったりなものになっています。
また、参加してくださるデリの皆さんの模擬人生にもエンドロールが流れないでほしいなと思っています。年末にある全日本会議はその後の身の振り方を考える上での大きな転機になるでしょう。その時に「もう少し模擬国連と関わっていこうかな」「来年はこんなことができるようになりたいな」そう思える会議になったらいいなと考えています。
模擬国連を4年間続ける人は決して多くありません。勿論、模擬以外のことに取り組むことは素晴らしいことです。ただ、自身がこの活動が好きで4年間を注ぎ込んできたからこそ、伝えられる魅力があるのではないか。また、思い悩んできた経験もあるからこそ寄り添える部分があるのではないか。そう思っています。会議的な側面のみならず、本会議を通して知り合った同期や先輩、後輩と繋がりを持っていきたいと思える雰囲気作りができるよう尽力していく所存です。
議題解説
コソボ情勢とは、セルビア共和国南西部にある自治州内でアルバニア人が独立を求めて運動を始めたことをきっかけに、ユーゴスラビア政府による強い弾圧を受け、次第に多くの民間人を巻き込む紛争へと事態が悪化していく一連の流れを指します。
【歴史的背景】
チトーのカリスマ性によって統一されていた旧ユーゴスラビア連邦は、彼の死後、経済的な不満も相まって民主主義が加速していき、スロベニア・クロアチア・マケドニア・ボスニア=ヘルツェゴビナが独立を宣言します。そして、残ったセルビアとモンテネグロにより新ユーゴスラビアが発足しました。ユーゴスラビアやセルビアを全体で見れば多数派はセルビア人でしたが、そのセルビア国家の一部であるコソボ自治州は約200万人の住民のうち9割がアルバニア人という複雑な民族構成をしていました。
【紛争の流れ】
第二次世界大戦直後のコソボでは、アルバニア人に寛容な政策が打ち出されたり、憲法でコソボの地位が向上したことなどから貧困地域ではあるものの、政治的には安定していました。しかし、1980年代に突入し、、ミロシェヴィッチ大統領はセルビア民族主義的な動きを強め、同地域に9割住むアルバニア人からは、経済的な不満も加わり、強い反発を引き起こします。
そして、1990年代当初は武力に頼らない不服従運動を行っていたアルバニア人グループも、次第に武装勢力化し、武力で独立を訴える強硬な組織「コソボ解放軍(KLA)」として独立運動を行っていきます。これに対し、ミロシェヴィッチ率いるユーゴ治安部隊がKLAの鎮圧と称し、苛烈な攻撃を強め、KLAのメンバーのみならず、民間人であった多くのアルバニア人が殺されたり、家を追われたりすることとなりました。
この民族浄化とも言えるミロシェヴィッチの行動が国際社会でも問題視され、国連の場で情勢解決に向けた取り組みが話し合われることになります。しかしながら、国連や和平交渉にあたったコンタクトグループの努力も虚しく、交渉は瓦解し、1999年3月24日にNATOは国連からの許可なしに、コソボ自治州への空爆を開始しました。そして、空爆中にも継続していた和平交渉が、1999年6月3日にミロシェヴィッチの合意により終了し、6月10日には空爆が停止。コソボ情勢が終結することとなります。
【コソボ情勢が抱える問題】
コソボでの紛争は一見すると小さな自治州での問題と捉えられますが、コソボでの独立闘争がバルカン半島に住むアルバニア人全体へ波及し、大きな独立運動を引き起こす可能性があったこと、大量の難民の流出が地域全体の安全保障に影響を与えかねないことから、深刻な問題でした。
加えて、NATOが早い時期から情勢解決の手段としてコソボへの軍事介入を示唆していたことから、紛争を解決できなかった場合には、NATOの信頼性を大きく低下させる事態になることも予測されました。一方で、史実のように安保理の授権なしの軍事介入は「違法だが正当」と後に称されるように、国際的に正しい手順を踏んで介入が行われたとは言えず、ロシアや中国などの国から強く批判を受けています。
上記に記したような複雑でかつ変化し続ける情勢の中で、どのような取捨選択を行うかが極めて重要となります。
論点解説
当会議は、クライシス会議であるため下記の論点はあくまでも想定論点です。会議中は、進行する事態に合わせてデリの皆さんが適宜論点を設定して議論を進めていただきます。
➤安全保障理事会議場
・ユーゴスラビアに対する今後の追加的措置及び決議について
史実では、安保理が民族に対する弾圧を行っているユーゴスラビア政府に対して武器の輸出禁止などの制裁を行ったり、コソボ情勢が地域の平和と安全に対する脅威認定をしたりしました。一方で、決議内容はユーゴスラビア政府によって履行されず、事態が深刻化していくことになります。
そこで、安保理としてより踏み込んだ制裁措置を取るのかどうかが議論されます。更には、理事国の中には、事態の解決のためには軍事介入も辞さないと考えている国も少なくなく、軍事介入を国連として認めるかどうかにも議論が発展する可能性があります。これに対して、追加的な措置が内政不干渉原則や武力不行使原則に反すると強く批判する国々が存在するため、激しい議論がなされることとなります。
・コソボにおける人道状況と対応について
コソボでは、ミロシェヴィッチ率いるユーゴ治安部隊やコソボ解放軍(KLA)による攻撃により、一般市民を巻き込む情勢は日に日に悪化の一途を辿っていました。具体的には、1998年9月の時点で、600〜700人の死者、23万人以上の難民・避難民、そのうち約5万人が森や山に逃げ込むという事態が発生してます。そこで民間人への被害を抑えるには、国連としてどのような行動を取るか、難民・避難民をどのように支援するかなどの論点で議論がなされることが予測されます。
➤北大西洋条約機構(NATO)議場
・軍事介入の是非
安全保障理事会でも議論がなされるように、NATO議場でも同様に軍事介入を行うかどうかを議論することになります。NATO内部では1998年6月あたりから武力行使の可能性が示唆されており、10月には「作戦発動司令」といい何時でも空爆を始められる状態が作られていたことから、安保理議場よりも進んだ議論がなされると考えて良いでしょう。
・具体的な介入プランについて
仮に、NATO内で軍事介入を実施すると決定された場合、具体的に介入の手段や、兵器や人員の確保、どのように介入を展開させていくかのプランが必要になってきます。手段では空爆を行うのか、地上軍の派遣を行うのかを検討する必要があり、また、どこの国が兵力や人員をどの程度拠出するのかも論点の1つになります。プランでは、介入の目的を何と定めるのか、どの期間にわたって軍事介入を行うのかが議論内容となります。
※軍事的なリサーチが一定必要にはなりますが、ミリタリーオタクではないと対応できないような過度に軍事的な設計にはしません。
➤第3議場
下記にも記載しましたが、第3議場はコンタクトグループや欧州安全保障協力機構がデリからの要請によって、適宜設置されます。同時に開ける第3議場は1つまでですが、他にもデリが戦略に合わせてEUやG8などを議場に要請し、用意することが可能な設計となっています。そのため、論点も多岐にわたります。
史実では、当事者を交えて和平合意に向けた交渉を担ったコンタクトグループが存在しました。論点例として、その場では、将来的にコソボは独立するのか否か・ユーゴ治安部隊は一部が撤退するのかすべてが撤退するのかなどが話し合われました。
国割
<安保理>
Argentina
Bahrain
Brazil
Canada
China
France
Gabon
Gambia
Namibia
Netherlands
Malaysia
Slovenia
Russian Federation
United States of America
United Kingdom
<NATO>
Belgium
Canada
Denmark
France
Germany
Greece
Italy
Netherlands
Norway
Portugal
Spain
Turkey
United States of America
United Kingdom
<コンタクトグループ>(その他設置予定)
France
Germany
Italy
Russian Federation
United States of America
United Kingdom
会議の特徴
➤クライシス会議
クライシス会議とは、会議の進行に合わせて、議場内外で時間が進んでいく会議のことを表します。デリの行動や合意は国際情勢に都度反映され、情勢が変化していきます。例えば、当会議では1時間15分で史実時間の1週間が経過し(この単位を1タームと呼びます)1タームごとに情勢の変化が発表されます。デリの皆さんには、継続するコソボ情勢の変化の中で最善の選択を試行錯誤しながら、議論や交渉にあたっていただきます。
クライシス設計であることは当会議のコンセプトにも直結する大きな特徴です。通常の模擬国連では、会議の結末はレビューでの答え合わせになりますが、クライシス会議では、1タームごとに担当国や議場全体がとった行動の結果に直面することになります。この概念を初めて聞いた方には難しく感じたかもしれませんが、会議準備期間にクライシス講習会を行う予定なので安心して、参加してください。
➤3議場制度
当会議では、安全保障理事会・北大西洋条約機構議場(NATO)・第3議場の計3つの議場が設置されます。第3議場はコンタクトグループや欧州安全保障協力機構などデリからの要請によって、適宜設置されます。これは、本来であれば安保理やNATOの議論と並行して行われる裏交渉を模擬できるようにするために導入されます。
それぞれの議場に参加できる国は決まっており、各議場で並行して議論や交渉が行われるため、デリの皆さんは会議中に出される情報を駆使して、会議の全体像を掴む努力をしていただくことになります。
➤多様な参加方法
上記に記載した3議場制度に伴い、会議の国割はトリデリ(3人1組)・ペアデリ(2人1組)・シングルデリの3種類が存在します。
- 自分が人と組んで会議に出たいか否か
- どの規模の国家を担当したいか(大国?中小国?)
- 安保理・NATOのどちらの議論に興味があるか
など、自身の興味や参加目的に合わせて、国や参加人数を選べるのは他の会議にはない特徴であると考えています。
対象とする参加者
当会議では、多様な目的意識を持つ方を歓迎しております。下記はその具体例として捉えていただければと思います。自身の考えと会議がマッチしているかどうかは気軽にご相談ください!
・一般的な模擬国連への経験を踏まえた上で、自分の新たな強みを見つけたり、抱えている課題に挑戦したりしたい人
・国益設定で終わってしまう会議準備から一歩成長し、戦略まで組み立てて会議に取り組んでいきたい人
・自分の選択の結果が常に突きつけられる環境で会議をすることで、これまでの模擬国連では見えなかった選択のその後の世界を体感してみたい人
・クライシスというゲーム性の強い会議を味わってみたい人