ジュネーブ諸条約第一追加議定書
会議設定
議題:武力紛争に適用される国際人道法の再確認と発展のための外交会議(Diplomatic conference on the reaffirmation and development of international humanitarian law.)
ジュネーブ諸条約第一追加議定書
議場:武力紛争に適用される国際人道法の再確認と発展のための外交会議
史実決議:1949年8月12日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書 I)(Protocol Additional to the Geneva Conventions of 12 August 1949, and relating to the Protection of Victims of International Armed Conflicts (Protocol I))
設定日時:1974年2月20日~1977年6月10日
使用言語:日本語(スピーチのみ英語可)
会議参加国数:20か国
募集人数:40人程度
フロント
会議監督 | 齋藤航太(駒場研究会神メン)
議長 | 齊藤瞳(四ツ谷研究会神メン)
副議長 | 日下剛志(神戸研究会老メン)
秘書官 | 木村駿太(京都研究会神メン)
秘書官 | 芹口桃華(日吉研究会神メン)
秘書官 | 楠芽依(九州支部神メン)
参加者へのメッセージ
みなさんこんにちは!こまけん神メンの齋藤航太です。
まずは大会HPをご覧いただきありがとうございます。このページには「こんな会議作ってます」ということを書いていて、ちょと長いかもです。ですがこの会議に参加するうえでデリに求めることは①事前会合の存在の把握(12/21or22予定)と②基本ペア議場(マッチング有り)であることの把握、そして③何かしらのやる気です。なのであまり神経質にならず、読みたいように読んでください。もしなにか不安や質問があればアプライ前メンター等何らかの形でフロントに聞いてみてくださいね。
ところでコンセプトから察せられるかもしれませんが、僕はあまりデリの行動を縛りたくないと思っています。だって史実の代表たちなんて自分勝手に動いてるんですから、模擬国連でもデリの好きに動いてもいいじゃないですか。でもだからと言って会議がどうなってもいいのかというとそれもちょっと違います。デリの自主性を尊重する中でもフロントには出来ることがあると考えているからです。例えば会議設計が明確なほうがモデはスムーズに進むでしょうし、BGがわかりやすくて内容が充実していればデリの準備を効率化して他の深堀にリソースを割いてもらえるでしょう。そのような地道な自分たちに出来ることを積み重ねて楽しい会議を作りたいと思っています。
なので私たちは皆さんが会議を作り上げる土台をがんばって作ります。その土台の上で会議を楽しみたいと少しでも思われた方は、是非参加をご検討ください。お待ちしています!
駒場研究会 齋藤航太
会議コンセプト
Inclusion
模擬国連の魅力って何でしょう?
調べるのが楽しい、議論で成長できる、交渉のスリル、人と競い合える、国際社会への理解が深まる、なんとなく面白い…色々あると思います。人によって魅力が違えば理想の会議像も十人十色です。でも議場は6つだけ。困りましたね。そこで議場ではできるだけ多くの人にとって有意義な会議を、いろんな人が同じ議場で仲良く会議で競い合えるような会議を作りたいと考えています。だからinclusionです。シンプルですね。
このコンセプトのためにフロントができることは大きく分けて3つあると考えています。1つ目は明確な会議設計と情報共有です。模擬国連会議とは史実の膨大な交渉過程や成果文書を学生が二日間で処理できる形に再構成したシミュレーションのようなものです。このシミュレーションの前提をデリにうまくつたえて初めて、デリは自分なりのリサーチや戦略、楽しみ方を考えることができます。そこで当会議ではフロントが史実をどう考え、どう再構成したのかを意識して伝えます。特にBGが既存の情報のまとめではなく、フロントの理解や会議設計の意図が伝わる物になるようにします。
2つ目は自由度の高い会議設定です。本会議ではフロントの想定は用意しますが、その想定への恣意的な誘導や強制は極力さけるつもりです。また会議設計においても、議論から広い意思決定をデリに任せる事で、会議全体を俯瞰した戦略をとる余地をデリに残します。そしてこれらの自由度を与えてもなお崩壊せず、デリの行動と結果の結びつきが説明できるような堅固な会議を作ります。
最後はサポートです。この会議にはメン齢を中心にさまざまな経験を持った層が参加することが想定されます。これらの層のギャップを最小化するとともに、より深い洞察が行えるように、進捗確認にとどまらない一緒に考えるメンターを行います。具体的にはメンターの主担当をフロント内で分担し、一か国あたりのメンター時間を最大化できるようにします。その他にもタスクを中心にできる限りのお手伝いをできればと思っております。
このようにフロントとして出来ることを全てやったら、あとはデリの皆さんの出番です。是非自分なりの模擬国連を実現してください。
議題解説
本会議の議題は「武力紛争に適用される国際人道法の再確認と発展のための外交会議」における「ジュネーブ諸条約第一追加議定書」の起草です。
19世紀後半から20世紀前半にかけて、国際法においては「戦時国際法」と呼ばれる分野が発展していきました。これは戦争の正当性とは別に戦争をする際の軍隊が守るべきルールを定めたもので、戦闘の方法を規律する「ハーグ法」、戦争犠牲者の保護のための「ジュネーブ法」の二つの体系が形成されました。
しかしこれらの体系が発展している間にも戦争の形は大きく変化します。戦争が限られた軍隊や国家によって行われるものではなくなっていったのです。具体例としては第二次世界における民間人の犠牲や、植民地からの独立戦争(アルジェリア戦争、ベトナム戦争など)おけるゲリラ戦をあげることができます。これは従来の「軍と文民を区別する」という戦時国際法の前提が大きく揺らぐことを意味していました。
この時期から戦争違法化の影響で戦時国際法は「武力紛争法」「国際人道法」へと名を変えました。国際人道法を洗練させこれらの変化に対応するため、ICRC(赤十字国際委員会)は新しい議定書の整備に取り掛かります。研究を重ね、専門家会議を開き、1973年には新しい議定書の草案が作られました。
しかし議定書を完成させるにはもう一つのステップを踏まねばなりません。それが国益渦巻く外交会議、すなわち今回模擬する会議です。史実では様々な文脈と国益の衝突により、隙あらば論争しているような激しい会議になりました。模擬会議において、議場は、そして貴方はどのような議定書を形作るのでしょうか?
論点解説
ジュネーブ外交会議では3つの委員会に分かれて議論が行われましたが、本会議ではそのうち2つの委員会にまたがる3つの論点を抽出して一つの模擬国連会議を構成します。
①戦闘員と民間人の区別
国際人道法では戦闘員と文民を区別します。文民は戦闘に参加できない代わりに戦闘から保護されます。戦闘員は戦闘から保護されない一方で、戦闘をする権利と捕虜としての権利が与えられます。両者を区別するために戦闘員には見た目をわかりやすくする義務を有します。この「区別」という考え方は国際人道法において極めて重要な原則です。
これを大きく揺るがしたのがゲリラ戦の登場でした。ゲリラ戦では強大な敵に立ち向かうために小規模な襲撃を繰り返します。この時に現地住民に協力を受けたり現地住民にまぎれたりすることも多々ありました。ゲリラ戦は当時国際的に認知されつつあった民族解放戦争においては有用な戦術だったのですが、一方で従来の区別原則を重視する国際人道法観とは相性の悪いものでした。そのため国際人道法の中にゲリラ戦士を取り込むことに関する議論が必要となったのです。
史実においては、そもそも民族解放戦争を「国際的な」武力紛争として認めるのか大もめするところから会議が始まります。その後戦闘員をどう再定義するのか、民間人との区別義務の程度について激しい議論が延々と続きました。結局できたのはいかようにも読める玉虫色の条文でした。
本会議ではこの論点を具体的な区別義務の扱いを中心に扱います。いつ、どの様に文民と戦闘員を区別するべきなのか、普段の(?)概念的な自決権の問題よりもより具体的な形で新しい価値観と既存の価値観の衝突を体験できる論点です。
②文民と民用物の保護
二つ目の論点は文民と民用物の保護するための戦闘方法(特に兵器の使い方)の規制です。戦闘方法の規則はもともと1907年のハーグ陸戦条約によって定められ、「ハーグ法」の範疇に含まれていました。しかしこの条文は年代の通り非常に古かったので、第二次世界大戦などで総力戦を背景として行われた先述とその被害に十分に対応できませんでした。
そこで第一追加議定書では、実際の戦闘から民間人、民用物を保護するために戦闘の手段及び方法を規制する条文が設けられました。ハーグ法の範疇に踏み込んだのはこの議定書の重要な成果の一部なのですが、戦闘手段を制限するということは自国の防衛の手段を制限するということです。これを嫌った国が自国の選択肢を維持するために但し書きを追加したりしたので、このあたりの条文も曖昧さを残すものになりました。
今会議ではこの中から特に無差別な性質を有する戦闘方法の規制を取り扱います。理想と現実の衝突を体験しつつ、昔も今も問題となっている無差別攻撃という概念についての理解を深めることができる論点です。
③留保規定ー戦時復仇と民族解放戦争を中心にー
留保とはある国が条約を受け入れる際、一部の規定を自国には適用しないと宣言することです。この留保は無制限ではなく、一般的には条約の本質にかかわる内容を留保することはできないとされています。
史実会議では特定条文への留保を制限する条文案が提出されました。民族解放闘争や戦時復仇を禁止する規定に関して留保を置かれてしまうと困ると考える代表がいたためです。しかし留保してはならない条文のリストについて各国の見解の一致を得られず、留保に関する規定は議定書から姿を消しました。
本会議ではこの幻の留保条文について民族解放戦争と戦時復仇に関するいくつかのカテゴリを設置し、どのカテゴリについて留保を許す・許さないのかを議論していただきます。「留保」という条約法上の概念も頭に入れながら、この議定書の本質とはどこなのかを考えます。先述の二つの論点にも絡みつつ票数と内容を天秤にかけたゲーム的な側面も味わえる論点です。
国割
※9月初旬~中旬に更新予定
ICRC
USA
UK
France
Israel
West Germany
Finland
Switzerland
USSR
East Germany
Yugoslavia
North Vietnam
Philippines
India
Pakistan
Egypt
Syria
Ghana
Argentina
Mexico
会議の特徴
①自由度が高い・ゆとりのある会議設計
本会議では自由度の高さと時間的制約の緩和を意図して様々な工夫をしています。
- すべての国はペアで、議場の前後をパーテーションで分けて交渉とモデを同時に行うことが可能です。また前後で(椅子に座って)モデを同時に行うことも可能です。
- 議論議論(事前会合予定、オンラインで12/21or22)を行います。TT案を通して論点設定、議場の前後の活用方法、投票の時間まで決めることができます。複雑さを考慮して、参考用フロント案を数種類用意する予定です。
- 条文は8/2現在、第44条、第51条、留保規定の3つを核とする予定です。多少の追加の可能性はありますが量よりは一つ一つの条文を丁寧に議論・交渉していただくことに重点を置いております。
②安心のサポート
- BGは読むことによってさらなるリサーチへの扉を開きつつ、フロントが史実において何を把握し、どのように会議を再構成しているかがわかるような構成となっています。
- メンターの主な目的はデリのリサーチを補助しつつ、考えを深められるようにすることです。メンターはフロントで分担して行います。一人当たりのメンター可能時間を最大化して行き詰ったときにじっくり考えられるようにするためです。フロントは精鋭ぞろいですしディレクもできるだけ顔を出しますので質についてもご安心いただければと思います。
③注意事項一覧
- 事前会合ありです。任意参加で救済措置を用意しますが可能な限り予定を開けてほしいです。日程は12/21or22です。
- すべての国がペアです。マッチングは行いますし、あらかじめペアを組んでいただいても結構です。
対象とする参加者
すべての参加者を歓迎しますが、特に次のような人が本会議に向いているでしょう。
①国際人道法に興味のある人
この会議では国際人道法について多くのことを学ぶことができます。残念ながら紛争が世間に認知され続ける世の中で、どのようにその惨禍を低減するのか、第一追加議定書の内容を理解しつつ考えてみたい、という人は是非いらしてください。熱い思いを持ったICRC志望者もお待ちしております。
②全体を俯瞰した戦略を考えたい人
この会議には議論議論があります。議論議論の裁量はかなり広く、モデとアンモデの議題、時間配分はもちろんのこと、どの条文をいつ採決するかについても選択肢を与える予定です。
また本会議では議場の前後を自由に活用できます。さらにすべての国がペアですので、時間に余裕がある会議に向き合うことが可能です(とはいえ史実は4年かかっているのでやることがなくなりはしないでしょう)。
このように極めて議事進行の自由度が高い中で、議論の構造を(自国有利に)俯瞰的に理解し、具体的なTTに落とし込むことが一つの有力な戦略になります。もちろんメンターでもじっくり一緒に考えることができますので、自信がなくても大丈夫。ぜひ挑戦してみましょう。
③面白い会議をやりたい人
この会議では自決権を中心とした世界観の対立、100年以上にわたる人道の精神の発展、自国の安全保障、国際法的な条約の運用の問題といった様々な文脈が交錯しました。どのような条文になるか、条約のどの部分を優先するのか、普遍性と実効性をどう調和させるか。様々な国の異なる考えがぶつかり合い、激しい議論が繰り広げられたジュネーブ外交会議には様々な物語が存在します。一つの出来事としての史実会議を味わい、模擬会議で自分の全力を発揮したいのなら、後悔はさせません。